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インタートレードがハナビラタケの栽培に至った経緯を訊く!

田中 真弘
株式会社インタートレードヘルスケア
取締役

証券会社の同期メンバーに誘われインタートレードに

今までの経歴や入社の経緯を教えてください。

田中真弘と申します。年齢は今55歳になります。最初に勤めていた証券会社の同期に弊社取締役の尾﨑がいました。会社の寮で、部屋が隣で同じ理系出身ということから気の合う仲間として、他の同僚も交えて一緒によく飲んだものです。その10年後に私は大手コンピューターメーカーに転職したのですが、それでもたまに連絡は取り合っていました。3年たってお互いに忙しくなり、疎遠になっていたある日のことです。「新会社を作った。新システムの開発を行うので手伝って欲しい」と尾﨑から突然連絡が来ました。驚きましたがチャレンジしたい想いもあり、熟慮した上で参加することにしました。

大手コンピューターメーカーの仕事はやり甲斐もあり不満はありませんでしたが、大手の看板と言う後ろ盾で仕事するのではなく、「自分の力だけで、どれだけできるんだろう」というのを試してみたかったのと、今後ベンチャーに誘われることがあるかと考えた時に、「これは良いチャンスなのではないかな?」と思い、2000年の7月にインタートレードに入社しました。

現在はヘルスケア事業部で「ハナビラタケ」を栽培

入社当初は証券システムの開発が主な業務だったと思いますが、現在はヘルスケア事業部に所属されていますね。

元々は証券システムに携わり、10年以上やってきました。ある時、社長の西本から「糖尿を患っていた時にハナビラタケを食べていたら改善した気がする」という話があり、いつも近くで見ていた社員は西本の体調が改善していく姿を現実に見たことから、「ハナビラタケには何かある」と言う事が話題となっていました。そして「これは面白いのでは?」ということで、本格的に事業として検討することになりました。

ハナビラタケとはなに?

そもそもハナビラタケが、どういった物なのかをわかりやすく教えてください。

ハナビラタケはいわゆるキノコです。形がサンゴみたいな真っ白いキノコで、シイタケなどの軸と傘があるキノコとは異なり、どちらかというとマイタケに近い形です。英語で言うとカリフラワーマッシュルームと言います。カリフラワーとは形がちょっと違うのですが、白くてヒラヒラとしていることからカリフラワーマッシュルームという名前が付けられています。また、もともと日本の高山に自生しているキノコです。

私たちはハナビラタケを人工栽培で作っているのですが、とにかく雑菌に弱いので自然に生えた状態で見つけることはとても難しいキノコです。ハナビラタケは基本的に食用キノコですが、味はそれほど特徴的ではありません。どちらかというと食感がすごく優れていますね。火を通して食べてもシャキシャキするような感じです。食用のキノコ類ではあまり感じないような食感で、オバマ大統領が伊勢志摩サミットで来日された際の食事でも振る舞われました。

食品ではなくヘルスケアとしてハナビラタケを栽培

ヘルスケア事業を行うなかで、ハナビラタケが人の健康に有用な点が他にも有ればご教授ください。

元々ハナビラタケは βグルカンと呼ばれる免疫力を高める成分が、食べ物の中でも最も多いと言われています。ハナビラタケは健康に良いという巷の噂から、一部の事業者で取り扱っていたこともありますが、一般的には免疫力を高めるということで好まれる傾向があります。以前、某大手繊維メーカーもハナビラタケ事業をやっていた事があります。現在、私たちのハナビラタケ事業は、更年期の女性へのフェムケア※2がメインになっています。ただ、免疫力を高めるというご評価は、お客様から多々いただいております。

ヒト臨床と「機能性表示食品」

研究開発や臨床試験に力を入れていると聞きました。ヒト臨床ではどういったことが行われていたのでしょうか。

2013年には糖尿とアレルギーに関しての試験を実施しました。糖尿に関しては、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)という糖尿の指数が優位に下がったというところまでの結果は出ていました。しかしアレルギーに関しては多少の改善は見られましたが、それほど特徴的な結果ではありませんでした。

また、トリプトファンという成分がハナビラタケの中には入っており、それが血中のセロトニンを増やす効果があるという結果も得られましたので特許を取得しました。2016年に機能性表示食品制度の全容が出てきた際に、機能性表示食品は「健康な人が食べて改善するものじゃなければいけない」ということでしたが、我々がやっていた臨床試験はご病気の方に対して行っていたので、使えないということになりました。ただ、ヒト臨床をやった結果自体はWHO(世界保健機関)に登録しなければいけないので、WHOのホームページからそういった臨床結果を見ることができます。

近年では2019年に、女性の精神ストレスに関するヒト臨床試験を行い、更年期女性の不快感を緩和することが判明したことから、機能性表示食品の届出受理にチャレンジしています。2013年の臨床結果が機能性表示食品に使えなかったことはとても残念に思っていますが、2019年の試験結果には大きな期待をしています。

ハナビラタケの生産は他社もやっていますが御社の優位性は?

ハナビラタケを日本で生産しているのは10社くらいで、そのほとんどが小規模な農家さんです。優位性というと、他の生産者は基本的には生産したハナビラタケを生鮮としてデパート、スーパー、飲食店等に出荷します。私たちは生鮮として出荷するのではなく、高い機能性を有効活用するためのサプリメントとして販売しております。

今はどのようなアプローチで宣伝していますか?

東京女子医大、産業技術総合研究所との産学官共同研究を行った際に、ハナビラタケには「サイレントエストロゲン様作用」があることが解明されました。エストロゲンはいわゆる女性ホルモンです。女性は思春期位の時期から出産可能な年齢位までは歳を重ねるごとにエストロゲンの量が増えます。また、エストロゲンの分泌が多い時期の方が肌の調子がいいです。

また、女性にはもう1つプロゲステロンという女性ホルモンがあります。約1か月という生理周期の中で、最初はエストロゲンが優位性を保ち、 排卵期を終えると逆転してプロゲステロンが多くなります。この時期になるとイライラしたりPMS※3になったりする方がいらっしゃいます。PMSは、プロゲステロンが増えた時期に起きるので、逆にエストロゲンが増えていれば、PMSを抑制できるという効果が期待できます。

当社では2022年4月に、横浜薬科大学との共同研究において、「ITはなびらたけ」による女性の不快症状の緩和に関する論文を発表しており、更年期女性に対する効果をアピールしています。

ハナビラタケはとても繊細 生産者は納豆を食べられない?

ハナビラタケはどこで栽培しているのですか?

当社では山梨の工場で生産しています。ハナビラタケの栽培方法ですが、松の木に種菌を植菌しているわけではありません。まず松のおがくずに他の栄養と水を加えた培地を作成し袋に入れ、それにハナビラタケの菌を植菌後、密封して育てていきます。

ハナビラタケの栽培は難しいのですか。

ハナビラタケは皆さんがイメージするような原木栽培ではなく菌床栽培です。ハナビラタケは、雑菌にすごく弱いので、菌を植える前に、菌床となる培地を110度ぐらいで高圧殺菌します。無菌状態となった菌床に、無菌室でハナビラタケの種菌を植菌後、密封します。

菌床栽培の育て方はどのキノコも方法は概ね同じです。しかし、ハナビラタケは菌を植える際に細心の注意を払う必要があります。他の菌が少しでも入ると他の菌に負けて全滅してしまうのです。ハナビラタケの価格が高額な理由は、手間のかかる栽培方法にあります。

無菌室内での消毒に関しては、かなり気を付けています。もちろん全身白い防塵服でマスクを着用します。また菌を植えるときには、納豆は食べてはいけません。理由は体についた納豆菌が少しでもハナビラタケの菌床に付着したりしたら、ハナビラタケの菌が全滅してしまうためです。山梨工場のメンバーは納豆をほぼ食べていません。

ハナビラタケ栽培時に菌が全滅したことはあるのですか。

過去に全滅したことがあります。納豆が原因か?は分かりませんが・・・。大体生産する際には、数百~数千とか菌床を作るのですが、種菌を接種した段階では雑菌の混入が全然わかりません。それが2、3週間経過後、「あれ?これなんかちょっと違う菌が繁殖している」ということが分かるのです。

失敗した原因が人に付着した雑菌なのか? それとも消毒の不足なのか? どこからか侵入した菌なのか? など、ハッキリとしたことは不明なことが多いです。それ故に細心の注意をはらいながら作業を行っています。さらに問題が起きた場合には原因が判明しやすいように、この作業に関しては特定の人しか行いません。

ハナビラタケ工場を山梨にした理由とは?

山梨で栽培しているのは特別な意味があるのですか?

ハナビラタケの事業を始めようと思った時に、元々は自分たちで工場を持とうとは思っていませんでした。ハナビラタケを生産者から仕入れて、それを販売するスキームを想定していました。その時にハナビラタケ農家さんを何軒か視察したのですが、とある農家さんが「あなたたちがやるのだったら応援するし、栽培方法等も全部教えてあげる。」と言ってくださり、その方が山梨の農家の方だったのが一番の理由です。

ヘルスケア事業は主にハナビラタケの生産販売をされていますが、今後事業をどう成長させていきたいですか。

ハナビラタケの事業がある程度安定したら、より深い研究を進めることや、ビジネスを拡大すること等の検討が必要と考えています。
今はフェムテック※1、フェムケア※2という健康食品といった売り方中心となっていますが、同業の大手でも今まで女性の更年期については、病気のような認識はされていませんでした。
ハナビラタケを世界中の女性に知ってもらい、フェムケアとして確立するのが我々の当面の目標です。

※1 フェムテック…生理、妊活、出産などを解決できる製品やサービス。

※2 フェムケア…… 女性の体や健康のケアをする製品やサービス。
 
※3PMS ………… 月経前症候群。月経前の3~10日の間に続く精神的あるいは身体的症状で、月経開始とともに軽快ないし消失するものを言う。

Profile

田中 真弘(たなか まさひろ) 
1967年生まれ

株式会社インタートレードヘルスケア取締役

  • 2000年  7月入社、取締役就任
  • 2006年  4月CTO 第一事業本部副本部長
  • 2011年  3月フードサービス事業推進部 業務執行役員
  • 2012年10月株式会社らぼぉぐ 代表取締役社長
  • 2018年  1月株式会社インタートレードヘルスケア(らぼぉぐと合併) 取締役
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