はじめに

創業者2名は1998年まで証券会社で勤務し、マーケット関連システムの開発やトレーディング業務に10年来携わってきました。当時の日本はインターネットが徐々に広がり、政府では金融不況から脱出するため「フリー」、「フェア」、「グローバル」をキーワードとする大幅な金融制度の規制緩和を進めていました(日本版 金融ビッグバン)。
1999年には、東京証券取引所の立会取引廃止や株式売買委託手数料完全自由化など、証券業界の地殻変動が起こる中、ネットワーク型の金融システムを実現するためインタートレードを創業しました。その後、インターネットの拡大と金融自由化による時代の変化はインタートレードが想像した通りになり、一定の実績を積み上げてきました。
2017年の日経平均は26年ぶりに高値を更新し、大いに盛り上がりました。そして、ビットコインなど仮想通貨はそれをはるかに超える上昇を演じ、仮想通貨やそれを支えるブロックチェーン技術に注目が集まりました。仮想通貨には賛否はあるものの、ブロックチェーン(分散型台帳技術)はインターネットが登場した時のような世の中の仕組みを変化させる技術であり、新しいサービスが続々と立ち上がる時代になると考えています。これまで当社はシステムを提供して事業を展開して参りました。しかしながら、このようなビジネスモデルは、いずれ競合が現れ価格競争に巻き込まれていきます。これからは、一定の領域でシェアを取った企業が、隣の領域にも参入してくる時代になると考えており、システムからシステムを活用したサービスへと変身する必要があります。これからは新しい技術を活用したサービスをスタートします。

これまでの実績

1.創業初のシステム提供

◇トリガー発注システム
会社設立後、最初に提供したシステム。1999年10月に株式の手数料が自由化したことに伴い、複数のネット証券が開業のためシステムの準備を行っていました。複数のネット証券がスタートするにあたり、予想されたのは手数料の値引き競争でした。当社が同年7月に申請した特許技術をカブドットコム証券(当時:日本オンライン証券)に提案し導入しました。このシステムは、株価や取引高、損益、他の注文の約定状態など入手可能な情報を自由に組み合わせて自動発注するものであり、他のネット証券の差別化サービスとして現在も稼働しています。当時逆指値等は法律で禁じられていましたが、顧客の意思で逆指値を注文したことを証拠に残す電子伝票を実現することで、ルール変更も実現しました。

2.過去最大級の開発実績

◇私設証券取引所システム/PTS:Proprietary Trading System(IT-Monster)
2006年9月にカブドットコム証券で稼働した私設証券取引所システム「kabu.comPTS」は日本で初めて夜間取引において価格変動型(オークション方式)によって株式取引を実現しました。このシステムの心臓部であるオークション方式のマッチングシステムは当社のパッケージプロダクトである「IT-Monster」で、約2,000銘柄のマッチング処理を行っていました。 1998年に金融システム改革の一連の流れの中、取引所集中義務が撤廃され、私設取引システムが導入されましたが、終値のみの取引が主流であり、私設取引システムでの価格変動型が無かったため、ルールの整備も追いついてなく、当社はルール作りのサポートを当局に行い、稼働を実現させました。
このプロダクトは日本独特の取引方法である成り行き注文、特別気配などを実装しており、このような機能を有するプロダクトを所有する会社は当社と株式会社東京証券取引所だけであり、様々なマッチングに流用可能なシステムです。

余談ですが、このプロダクト名は社内公募し「Monster」に決定しましたが、当社が創業した1999年に同じ名前のプロジェクトが米国で進んでいたのを知り、因果を感じました。
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激化するECN等の新規参入者との競合 ECN、ATS等の私設電子取引所は「monsters」だ!

仮に世界の取引所が1つのグローバル・ネットワークでアライアンスを組めたとしても、それで安心というわけにはいかないようだ。と言うのも、取引所の外部から新たなライバルが台頭してきたからである。米国ではすでに9社のECN(Instinet, Island, Archipelago, REDIBook, NexTrade, Attain, B-Trade, The Brass Utility, Strike)が米SECに登録されている。米国先物業者協会(FIA)理事長のジョン・M・ダンガード氏は、「今後もまだまだ増えていくものと予想される。推定では9社のネットワークを通じた出来高がナスダックの取引高の25%を占めている」と、その勢力拡大ぶりを披露した。これに拍車をかけるように1999年、7つのブローカーレッジ企業(ドイツ銀行、CSFB、リーマンブラザーズ、メリルリンチ、モルガン・スタンレー、ソロモン・ブラザーズ)が共同で「ブローカーテック」社を設立した。「グローバルベースで債券投資のディーラー向けに構築されている。主たる目的は電子取引のプラットフォームを提供すること。低コストで流動性を高め、透明性を上げる」と、ダンガード氏は、その特徴を説明した。ユーレックスのフランケ氏は、こうしたニューカマーが“monsters”と呼ばれていることを紹介した。これはMarket Oriented Network System Terrify Exchange Regulatorsの略語。つまり、「取引所の規制当局者を驚かせるようなマーケット指向のネットワーク・システム」を言う。
「ECNは非常に短期的な機会を捉えて商売をする。そして、市場にアピールすることで、強みを持っている。伝統的な取引所にとって脅威であることは事実だ」

[1999年11月19日 大阪証券取引所が主催したセミナー(「第3回デリバティブ(オン・エクイティ)国際セミナーOSAKA1999」)の内容から抜粋]
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3.プロダクト

◇PTS:私設証券取引所システム(IT-Monster)
前述

◇株式ディーリング/トレーディングシステム(TradeOffice-SX / MarketAxis / TIGER Trading System)
創業翌年に開発したディーリングシステム(自己売買用)。創業メンバーは証券会社在籍中、ディーリング/トレーディングシステムを利用していましたが、当時のシステムにはリアルタイムのポジション・リスク管理や損益管理は無く、自ら開発したものを利用していました。
1999年4月末を持って東京証券取引所の立会売買が廃止されたため多くの場立ち(※1)が取引所を離れ、相当の人数が証券会社内で自己売買(ディーリング)業務に従事することになりました。当時多くの証券会社では証券取引所が提供する売買入力端末でディーリング業務を行っており、リアルタイムのポジション・損益管理機能は無く、コンプライアンス機能や自動伝票作成機能も無かったため、管理者はディーラー個人や部署全体の管理が難しく、また、取引終了後の事務作業は煩雑になり、多くのミスも発生し、証券取引所全体の取引量は伸び悩む状態でした。
当社が提供した初代ディーリングシステム「TradeOffice-SX」は、注文入力以降はすべて自動化され、リアルタイムでのポジション、損益管理、自動コンプライアンスチェック等、多くの機能を実装した他、現在では一般的な機能であるワンクリック発注、ワンクリックキャンセル、ドラック&ドロップ値段訂正などを日本で初めて実装するなど、ユーザの操作方法に拘ったUIを提供し、数多くの証券会社で採用されました。その後、情報量の増加やシステムの高速化に伴い、MarketAxisTIGER Trading Systemなどの後継版をリリースし、最大で45の証券会社で利用されました。以下、導入実績です。

  • 日本アジア証券
  • ブライト証券
  • 三菱UFJ証券
  • 赤木屋証券
  • そしあす証券
  • アーク証券
  • 東海東京証券
  • 豊証券
  • 光証券
  • かざか証券
  • 山丸証券
  • SMBCフレンド証券
  • 水戸証券
  • ウツミ屋証券
  • 丸三証券
  • フィリップ証券
  • 明和証券
  • ちばぎん証券
  • 内藤証券
  • 三晃証券
  • コスモ証券
  • ネットウィング証券
  • 丸福証券
  • 藍澤証券
  • 東洋証券
  • 丸国証券
  • 塚本証券
  • NEW‐S証券
  • 堂島関東証券
  • NIS証券
  • 山和証券
  • のぞみ証券
  • ドイツ証券
  • 岡三証券
  • 安藤証券
  • 極東証券
  • 日の出証券
  • 大成証券
  • 光世証券
  • 廣田証券
  • 金十証券
  • ジーク証券
  • 岡地証券
  • 三田証券
  • 新大垣証券
※1:証券取引所(金融商品取引所)・商品取引所の立会場で、会員証券会社などから派遣されて売買処理をする取引担当者。
[補説]日本ではコンピューターシステム化にともない立会場が閉場されたため、今は存在しない。
【デジタル大辞泉より】

◇マーケットメイキング型カバーソリューション(fortissimo)
2007年には外国為替証拠金(FX)取引に係るレート生成・カバー執行ソリューション「fortissimo」をリリースしました。
日本の個人投資家に広まったFX(為替証拠金取引)の運営母体は、自社の為替レートを個人投資家に配信するため、数多くのカウンターパーティ(銀行等)に接続しハウスレートと呼ばれる為替レートを生成しています。また、顧客との取引は運営母体が相手方になるため、マーケットが一定方向に傾いた場合は自己ポジションが増加します。同システムでは、ポジションの解消を手動、セミオート、オートに設定することにより接続先の複数のカウンターパーティに対して最適なカバー取引を執行します。
レートの配信やカバー取引は高速処理が必須であり、当社のfortissimoは、当時日本最速のカバー処理を実現していたシステムになります。

◇完全オークション型マッチングエンジンを搭載したシミュレーションサービス(MEXⅢ/MSRⅢ)
マーケットの世界では、投資教育や開発したアルゴリズムエンジンなど過去のデータでの分析・検証には限界があります。刻々と変化するマーケットは世界中からのリアルタイムの情報が影響します。当社が提供する「MEXⅢ&MSRⅢ」は、取引所から配信される価格情報をリアルタイム受信し、それをベースに超高速処理により注文に転換し、当社が保有する取引所システムに配信、板情報を形成します。本物のマーケットが変化する横で、同じ値動きのシミュレーション環境を提供しています。「MEXⅢ&MSRⅢ」は、日本の株式市場特有のオーダードリヴン文化により形成される完全オークション型でのマッチングエンジンを構築する日本唯一のシミュレーションサービスです。これにより、特別気配や連続約定気配などの再現も可能であり、インハウスシステム構築時における基本的な挙動電文授受などの開発や、新人トレーダの初歩教育用などとして利用可能です。MEXⅢ&MSRⅢでは、こうした役割への対応は勿論のことながら、より業務収益性に即したアルゴリズムプログラム検証などにも対応可能な高度なニーズにも対応することが可能です。

◇(J9,J1)
国内店頭市場であったJASDAQ市場が取引所端末のAPI公開アナウンスを受け、インタートレードは取引所端末の提供ベンダとしてISV選定を受けました。取引所APIを解析し、取引所端末「TradeOffice-J9」をリリース。取引所会員を中心に多数の国内/外資系大手証券会社にも提供し、当社の認知度を高めたシステムで、顧客ネットワークが一気に広まりました。その後、東京証券取引所のシステム変更(arrowhead)に伴いJ1を提供開始しました。
【補足】J9はJapan 9の略。9はJasdaqの市場コード。1は東証の市場コード。

4.公的機関へのシステム導入実績

◇日本証券業協会 取引所外取引報告・公表システムの開発
国内の金融関連法案に基づく許可金融商品取引業協会であり、全国の証券会社を構成員とする一般社団法人 日本証券業協会(JSDA)の「取引所外取引報告・公表システム」を受託成約しサービスを提供しました。サービスは多岐にわたっており、全国の証券会社がアクセスして気配・約定報告を行うネットワークの構築、受付けた報告内容を確認・集計して公表するWEBシステム、その内容を金融庁へ自動的に報告するシステムの構築を行いました。
【補足】本サービスに係るRFPに手をあげた企業は国内超大手システム企業で、中小規模は当社のみでした。これまでの培ってきたノウハウや、私設取引所運営サービスの安定稼働実績などが認められ受注に至りました。サービス提供期間中、重大障害件数は0件で安定稼働を実現。日本の各証券会社と接続実績をもちました。

◇大阪堂島商品取引所 先物取引所システム
国内大手商品取引所向けに取引所マッチングエンジンサービスや、取引所端末、相場情報配信といった取引所システムの主要機能、およびその他取引所システムの運用に必要となる機能一式を提供しました。
【補足】大規模案件のため、RFPに基づき国内外の大手システム関連企業が競合となる中で、ITMonsterの長年に渡る稼働実績や、商品特性に応じた最適なマッチングロジックのコンサルティングサービスなどが信頼を得て受注に至りました。システムの導入後、障害ゼロを達成したことで非常に高い評価を受け、2017年に同取引所より、表彰を受けています。

これから目指すこと

数年前、インタートレード社内でSPIDERプロジェクトがスタートしました。これは将来を見据えた新しいシステムを構築するプロジェクトです。インタートレードはこれまで紹介してきたとおり多くのプロダクトを提供してきました。SPIDERプロジェクトは、これまで開発・提供してきた機能を1つのプラットフォーム上で実現することを可能にするシステム基盤を構築することが目的です。

プロジェクト名を「SPIDER」としたのはある想いがありました。デジタル化が加速するこれからのトレードの世界では、単一の商品やサービスを限定されたユーザのみ利用できた時代から参加したいすべての人が直接参加し、かつ、参加者同士がトレードを行う時代へと変化すると考えたからです。まさに蜘蛛の巣が広がるように、そんな想いがSPIDERに込められています。
SPIDERの一部機能は切り出されProspectという製品名で提供されています。また、進化過程のSPIDERはこれまでのような金融機関ではなく事業会社で稼働しています。むかし、銀行と証券の垣根が無くなると言われた時代がありました。しかし今後は金融機関と事業会社の垣根が低くなる時代が到来すると考えています。

ブロックチェーンは基本的にアカウントが分散化されたデータベースで、すべての仮想通貨関連サービスの礎となる技術と捉えています。当該概念が仮想通貨Bitcoinのコア技術として実装され、全ての取引に係る公開台帳として使用されるようになりました。P2Pネットワーク、分配タイムスタンプサーバの利用を通じて、ブロックチェーンのデータベースは自動的に管理されます。仮想通貨としてのビットコインが主要な技術的イノベーションとして、主要メディアの注目を集めると同時に、ブロックチェーンも発展の歩みを遂げています。
ブロックチェーンは分散化されたトラストレスなスキームで、信頼のおけるデータベースを集団で維持するために用いられるテクニカルプログラムです。このプログラムにより、システム内のノードが暗号アルゴリズムを用いて、一定時間内におけるシステム内のデータ交換全情報を計算・記録し、ブロックに分割します。同時に、ブロックが次のブロックとつながり、次のブロックを検査するためのフィンガープリントが残されます。システム内の全てのノードは全体として記録の有効性を保証します。ブロックチェーンの特徴は、「分散性」、「トラストレス」、「集団での維持」、並びに「信頼可能なデータベース」という4点に集約されます。

ブロックチェーンの技術は日進月歩であり、これらの特徴をベースとして、様々な新しいサービスへの展開が実現しています。金融分野においても、その優れた性質を活用することにより、より高いサービスの提供が可能になります。そのブロックチェーンの可能性を追求し、これを最大限活用するとともに、今までインタートレードが培ってきたノウハウを融合することで、短期間で高品質なサービス実現を目指すのが今後のインタートレードです。